聖夜

開けた扉から洩れた
明るい光と暖かな風
重なり合う笑い声に縋ろうと
手を伸ばしてはみたけれど
扉は再び閉ざされた

戻らなくてはならない
約束の時間だ
あてがわれた場所は
ここではないのだから

こすり合わせた手に
吹きかける息は白く
裸足で踏み付ける雪に
小さな足跡を残す

ただ
その足取りは正確で
揺るぎなく思えたから

何度振り返っても
叶わない望みはあるものだと
理不尽さを噛み締めては
いくつも いくつも
飲み込んできたのかと

手をとって
抱きしめてくれる人が
いないと嘆くよりも
生きるための狡猾さを
選び取ったことに

見守ることしか
できなくて


自由詩 聖夜 Copyright  2006-12-26 20:58:34
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