僕のサンタ
1486 106

僕ん家の家計は火の車で
ランドセルはお姉ちゃんのおさがり
小学校では心無い同級生に
赤い色が女の子っぽいと笑われた

そのたび僕は文句を言って
仕事帰りのパパを困らせたけど
ごめんねと優しく頭を撫でるから
大粒の涙が零れてきたんだ

きっとパパは職場でも
偉い人達に頭を下げて
それでも僕達家族のために
汗水垂らして働いているんだろう

「ネクタイとても似合っているよ」

僕ん家の家計は火の車で
ママの帰りはいつも夜中
授業参観の日も仕事で
みんなから可哀想な目で見られた

そのたび僕は我儘を言って
仕事へ行くママを困らせたけど
ごめんねと温かく抱きしめてくれるから
また大粒の涙を零したんだ

きっとママは職場でも
日が暮れるまで頭を下げて
それでも僕達家族のために
頑張って働いているんだろう

「ママのハンバーグ大好きだよ」

クリスマスの日も二人は仕事で
とても静かな夜だったけど
枕元には僕の欲しかった
小さなテディベアが置いてあった

黒いランドセルなんて無くても
テレビゲームなんて無くても
大きなケーキなんて無くても
豪華な食事なんて無くても
僕はとても幸せだよ

謝らないといけないのは本当は僕の方なんだ

とっくの昔に気付いていたよ
二人はサンタだという事

愛情込めて付けられた名前
遊園地に行った時の思い出
今も大切に使っている筆箱
いつでも迎えてくれる家
孤独や悲しみに負けない強さ
痛みや憎しみに負けない心
誰かを思いやる気持ち
そしてこの体を動かす命
沢山の物を僕にくれたんだ

これからも僕は我儘を言って
二人を困らせるかもしれないけど
それでも温かく見守ってくれるから
僕は笑っていられるんだよ

「パパ、ママ本当にありがとう」


自由詩 僕のサンタ Copyright 1486 106 2006-12-25 01:18:18
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