2番線ホームの
ku-mi

いつもの時間に仕事を終えて
いつもの足取りで駅へと向かう
信号が青になるタイミングも昨日と同じで
駅の階段の一段目を踏み込む足もやっぱり右足だ

いつも8輌目の真ん中に乗る
東西線への乗り継ぎが楽なように
人身事故のアナウンスが
この路線ではないことにほっとする
同じことを考える人で溢れる2番線ホーム

赤いコートの女の後ろに並ぶ
タバコ臭い男が隣に立つ
繰り返されない日常はそこにあるけれど
赤いコートもタバコの匂いも
誰かである必要はない

向かい側のホームにふと目をやると
薄汚れた格好の腰の曲がった老婆が
列の先頭に立っている
やけに派手な花柄の布手提げ
それはいつもこの2番線ホームで
後ろから先頭を見たときに目にちらついていた手提げ

老婆と手提げ
私と2番線ホーム
繰り返される日常はそこにあるのに

老婆はちゃんと8輌目の真ん中の
先頭に立っている
何が違うのかなんて
きっと誰もわからない


自由詩 2番線ホームの Copyright ku-mi 2006-12-24 02:39:41
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