紅い帽子のサンタさん
あおば



昨日のこと

でかけようと
気を引き締めようとしたところ
ピンポーンとチャイムが鳴った
  我が家のチャイムは
  ピンポーンと鳴るのかは分からない
  ピンポーンと鳴ったような気がする
  ぴんぽーんと鳴ったような気もするが
  ピンポーンと聞こえているのだろう
ネクタイをぴんと引っ張って
宅配便のお兄さんかと
入り口のドアを開けてみたところ
明るい紅い色が目に映る
紅い帽子のサンタさん
紅い帽子も可愛らしい
舌足らずなサンタさん
小柄なサンタさんが
      来たんですよう
  新しい宅配システムの説明に
          きたんですよう
販促台詞が分かんないのが
恥ずかしく、もどかしい
高校生のアルバイトかな
本心はもっとお話を
伺いたいと思ったが
これ以上遅刻をしたら怒られる
起きてからぐずぐずしていて
時間がなくなった
朝の大事な時間を空費して
メリークリスマスと訪れた
サンタさんと話す時間も無くなって
遅刻をしそうになっている
どこからか
怖い顔に怖い声が飛んできて
遊んでいるなと叱られる
舌足らずな
サンタさんと遊んだら
遅刻をしたなと叱られる
よく分からないから
またあとでと
よく分かんない台詞を呟いて
紅い帽子のサンタさんに
黙って帰って頂いた
販促のサンタさん
ドアの向こうに消えてゆく
視界の効かないドアの外
紅い帽子のサンタさん
なにも言わずにでていった




自由詩 紅い帽子のサンタさん Copyright あおば 2006-12-23 21:00:38
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