James Brown's Funky Christmas
構造

今年も一人のクリスマス
だが、俺はさびしくなんかない
ジェームスブラウンの
クリスマスアルバムを聞いているからさ

こいつはすさまじくゴキゲンで
ヤツのステップを一字一句
間違えることなく
文字通り踏襲して
あたりまえのように
いつもが終わったように
疲れる

そうして
ベッドに横になって
夢を見る、
金が欲しいとか
女が欲しいとか、
文字通りのそういう
夢さ
そうこうしてて
うつらうつらしてると

サンタの格好をした
ブラザーJBがやってくる

煙突もない俺のアパートを見回して
"しけた家に住んでるな、ボーイ。願い事を言えよ
サンタさんがかなえてやるぜ。"と
驚く俺に奴は言う

俺は当然こう答えるのさ
"あんたみたいにファンキーな男になりたいんだ"

JBはちょっと考えると
俺に向かって諭すようにこう言った
"勿論なれないわけがない、そいつがアメリカンドリームってもんだ
だが、お前はまだボーイだ、男にならなきゃいけないぜ”

そういうと、ブラザーJBは袋の中から
よだれが出るほどゴージャスなシスターを
一人ばかり取り出した。
シスターは俺にしなだれかかり、
おれはいまにも叫びそうな顔をしている
そいつをみて、JBは満足気に笑い
邪魔者は消えるか、とばかり
お茶の一つも飲まずに去ろうとした
瞬間
JBは急に真面目な顔になって振り向き
こう言った。

"ボーイ、よく聞け。お前が大人になったらサンタさんはもう
プレゼントをやれねえ。
真っ当に金を稼げ、家族ができたらきちんと養え、
それがクールでファンキーってことだ"

朝俺が起きると、
シスターが横で寝ていた
おれはごそごそと
黴の生えかけたスーツをさがして
埃をはらって、ネクタイをしめる

俺はすでに一人前の男だから
このシスターを養わなきゃならない
そしてなにより
JBのようにファンキーな男になるためにだ


自由詩 James Brown's Funky Christmas Copyright 構造 2006-12-23 19:34:37
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