三つの詩に共通するものetc.(3)— バイオセンサー たける・kaz・山崎 風雅の詩
生田 稔

三つの詩に共通するものetc.(3)― バイオセンサー たける・kaz・山崎 風雅の詩

今日取り上げた詩3つはどれも共通した問題を提起している。よく言われる現代人の疎外であるように思う。

★バイオセンサー たけるはその詩「プロフィール変えてみた。12月22日、朝の引力」で現代の詩人達とくに「現代詩フォーラム」の詩人達に呼びかけている。
「何百回も書き直しているものより
さらっと書いたもののほうがウケるという
ポエム界の悲劇!アイヤー。」        と冒頭に現代詩の矛盾を突く、これは大いに反省しなければならない、私自身幾度となくふと詩を書いたりしたことがあるからだ。ふと書くことや、推敲することが問題ではない、とにかく詩によって何ができるかだ。社会改革や人心覚醒を詩に要求するのは無理だ。詩は芸術の一つである、だから芸術のための芸術であつても仕方がない。人のうちに、カタルシスを起こすこと、それが文学の存在理由だと習ったことがある。簡単にいえばそれに過ぎないが、もう少し真面目に言うと「人のために何かをすること」は幸福になる秘訣だと言われてもいる。そんな気の抜けた目的のため詩人達は決して詩を書くまい。詩をかく目的など持ち合わせないかもしれない。でもバイオセンサー たけるは終連に言う

「ならば重力を持った詩人達よ。
引力を持った現代詩フォーラムよ。
惑星の見つからないこの朝に
俺の詩情を引きつけて見せろ」 詩人の皆さんはどう反応されるか?

★ kazさんの「コミュニケイション」に就き
よく識者の間で取上げられる肉親間のコミュニケイシオンの欠如を丹念に描写し、しかもかなり詩的な表現が好感を持てる。難解ではなく読めば解るし、ぜひ呼んで疎外の現代に就き実感してほしい一遍である。最後の一行だけ引用しよう、
「家での会話がひとことも無かった一日だった」.
★ 山崎 風雅さん「明日は」
キリストは言う「明日のことを思い煩ってはならない、あすには明日の思いわずらいがある、今日の悪いことは今日一日で十分です」(マタイ6章34節)その聖句を踏まえてもよい詩であろう。
「人の悪意に出会うのが恐ろしくて
 一人で街に飛び出せない
 すり減っているのか
 磨かれているのか
 この魂
 それでも目が覚めれば
 生きていくことを
 諦めることはしない」 キリストはこんなことは言わなかった。しかし考えさせられる言葉だ。とくに「すり減っているのか磨かれているのかこの魂」と言う部分に感心する。世間によって我々は、その不条理さの故鍛えられているのかもしれない。
 12月22日に発表されな詩の中でよく読まれているものから偶然と言えば偶然選んだもので他意はない。





散文(批評随筆小説等) 三つの詩に共通するものetc.(3)— バイオセンサー たける・kaz・山崎 風雅の詩 Copyright 生田 稔 2006-12-22 16:10:28
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