薄いスカーフのように
あなたの面影は
風にさらわれた
私への叫びも残さずに
あんなにも抱きしめたかった
しなやかなシルエット 柔らかさ
きめ細やかな白の匂ひの記憶さえ
幻だというのに
あなたは遠く旅立ったはず
幸せの彼方に
はず 幾たびも
重ねた苦しい祈りに
私は灰になってしまった
もう誰を恋する力も
残ってはいない
いまも
こんなにも
せつないのに
あのとき地獄への
手をとれば
よかったのだろうか
あの頃でさえ
微塵もあなたに
値しなかった私が
何という惨めな
私だろう
笑いぐさが佇んで
もしかしたら
ああ そんなことも
ありえたかもしれないね
いいえ
けっしてそんなことは
おこらなかっただろう
あなたは天上の光であり
私は地の泥だもの
深い青の誘惑
子どもの頃からの
あの彼方への想いを
地に繋ぎとめている力は何だろう
手を伸ばしても
光に触れもせず
幾度も見つづける
空に堕ちていく夢