ひとさらい
umineko

    ひとさらい
    なら
    まだいいのだ
    身体ごと
    根こそぎ
    さらってくれたら
    よかったのだ
    安心して
    甘えられる
    そんな夜ならよかったのだ
    無謀にも
    こころだけ
    私は
    あなたにさらわれた
    あの
    夕暮れの線路ごと
    私はずっと走っている
    この街で私は汽笛を聞く
    それが
    遠い海辺のあなたの街なら
    どんなにか素敵だろう
    さらわれた
    私のこころは
    今頃
    遠い汽笛の街で
    どんなふうに眠るのだろう




自由詩 ひとさらい Copyright umineko 2004-04-02 10:39:57
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