あなた への招待状 〜新たなる夢について〜 
服部 剛



 先ほど、近所を散歩していました。友の唄声(CD)を聞きなが
ら布団に入っていましたが、来年から始まる新たな夢のことを思う
となかなか眠ることができませんでした。外に出ると、深夜3時半
を過ぎた夜空はいつになく星々が瞬き、西の夜空にはオリオン座や
シリウスの星・・・北の夜空には北斗七星が見えました。夜道の向
こうに淡い光で道を照らす街灯が立っていました。家の壁に飾られ
たクリスマスのイルミネーションが点滅していました。細い川のせ
せらぎが聞こえていました。明かりの消えた広場の木々が夜風にそ
よぐ唄が聞こえていました。そして深夜の夜道に独り立ち止まった
僕は、澄んだ星々が無数に瞬く夜空を見上げ、(心の声)が響くよ
うに、一つの願いを宇宙に語りかけていました。 

  * 

 昨日は稀月みひろさんが高田馬場・Ben’s Cafeの第3
日曜日(オープンマイク)の司会を務める最後の日だったので、僕
も参加しました。9年前からBen’sに来ていた初期の詩人・泉
俊之(炎氷)さんから花束が届いていたので、朗読会の最後に、詩
を読み終えた僕からみひろさんに渡しました。その瞬間、渡した花
束と引き換えに、第3日曜日のバトンをみひろさんから受け取った
ことを感じました。  

 僕は来年から始まるこの夢のことを思うと胸が静かに高鳴り、今
夜は特に、何故か眠ることができないから、こうして手紙を書いて
います。 

 今、この手紙を読んでくださっている(あなた)と共に、
 来年から始まる「世界の何処にもない詩の夜」をつくりたい。 
 参加する一人ひとりが自分らしい役を演じる 
 笑いと感動のポエトリー劇場をつくりたい。  

 日頃はなんの変哲もない僕という人の中にいる(はっとりん)は
今夜から大きい白い袋を担いで、この手紙を読んでいる(あなた)
が眠っている時に、見ている夢の中の部屋のドアをノックしに歩い
ていきます。 



  「  来年から始まる新しい夢の場を、
     皆と共につくりませんか・・・?
     あなたの言葉を、待っています。   」 



という招待状を(あなた)に手渡すために。 


二 

 今日は仕事が休みになったので、僕はさっきまで自分の部屋で、
ある素晴らしい唄を聞いていました。かけがえのない友(同志)
である菜穂さんがヴォーカルを務めるTajaの新しいアルバム
「LOVETODAY」の最後を飾る唄「木魂 こだま」には、個人的な
想い出があります。
 今から2年ほど前でしょうか?朗読の打ち合わせで菜穂さんと会
った時、まだできて間もないこの唄をCD−Rに焼いて、歌詩をプ
リントアウトした紙と一緒に封筒に入れて、僕にプレゼントしてく
れました。 
 この「木魂」という、聞く全ての人に贈るメッセージが込められ
ている唄の歌詩を、以下に引用します。 




   乗り遅れた電車見送って 
   反対側のホームに君を見つけた 

   宵闇に開く花が朝日に顔向けるように 
   君の行く先は きっと 君の心が知ってる 

   この世に偶然なんてなんてないのさ 
   あの日 あの夜 僕ら出会ってここにいるから 

   間違いだらけの毎日に 
   ひとつ ふたつ 変わらぬものたち 
   数えさせて 




 来年1月21日(日)からBen’s Cafeで新たに始まる
「笑いと感動のポエトリー劇場」では、ゲスト枠も作ることを考え
中です。その第1回のゲストに菜穂さんに来て頂けるよう、話を進
めているところです。まだ交渉中ですが、もしそれが実現すれば、
それは来ていただいた皆さまへの素晴らしい唄の贈り物になるでし
ょう。先ほど僕は、さっき布団の中で「木魂」を聞きながら、そん
なことを考えていました。 

 はっとりんは、これからもお会いする皆さまの前でとぼけたり?
のほほんとした振る舞いでいることでしょう。只、胸の内に秘める
想いとして、日常の老人ホームで会うお年寄りとの間に、僕が書く
詩と文の中に、そして来年から始まるBen’s Cafeのポエ
トリー劇場の中に参加してくださる皆さまの笑顔が花開くような、
そんなかけがえのないひと時が生まれることを、心の底から願って
います。そしてそんな詩的空間をこの手紙を読んでいる(あなた)
と共につくれたら、どんなに素晴らしいことでしょう。そんな詩の
夜を心静かにイメージする時、僕は自らの心の皮フが震えているの
を感じます。  

 敬愛する詩人の一人である故・高見順は、ある時熟れた果実を見
て「この世はすでに天に属している」という短い詩の言葉を綴り、
今も詩集の中から語りかけています。 

 身近な日常に潜む「天」を感じ取り、それぞれの人生を時に可笑
しく、時に悲しく生きる皆さまがBen’s Cafeの夜に集い、
笑顔を並べている、そんな「世界の何処にも無い詩の夜」を、今僕
は瞳を閉じて、想い描いています。 

 そして、この手紙を読んでくださっている(あなた)の 言葉を、
心静かに待っています。 





 ※ 高田馬場・Ben’s Cafe のHP
   http://www.benscafe.com/ja/poetry_j.html 
   来年1月21日(日)に始まるオープンマイクは 
   受付:17時半 開演:18時に時間が変更となります。


 ※ 文中の歌詞は
   Taja「LOVETODAY」(sutudio oahu)の
   「木魂」という唄より引用しました。

   ライブで素晴らしい音楽でポジティブな波動を伝えてくれる
   もしTajaのライブ活動やアルバム「LOVETODAY」
   に興味がある方は以下のTaja・HPを参照してください。 

   http://taja.kir.jp/








散文(批評随筆小説等) あなた への招待状 〜新たなる夢について〜  Copyright 服部 剛 2006-12-18 21:14:00
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