祈りのとき
銀猫


流星群は行ってしまった
銀の光の尾は思ったほどの残像を残さず
地に這うものと宙空の距離を
夜という名で引き離す

星が流れる
わたしは物語として知っている、
祈りのかたちで
手を胸の前に組む

祈りは湧き上がったものの
目指す方向を失っている
言葉にならない音で
辺りを漂いながら
深刻な思いに惑っている

太古からの習いによって
この手のちから及ばぬとき
そうして繰り返したように
星に祈るのは
もはや頼みが神懸りであると
諦めが見え隠れするせいだろうか

流星群は 行って しまった

迷い惑う手
ひかりの冷たさに震え
星を逃して

尽きぬ思いは
夜に染み入り
星を逃して
涙の銀が
すっ、と尾をひく




自由詩 祈りのとき Copyright 銀猫 2006-12-18 20:56:26
notebook Home