貧弱な土地にしか、果物は育たない。
ブライアン


山に囲まれた盆地で、水を集めて田を耕す友人は、
帰り際に、果物をくれた。


中学時代、いやもっと幼いころ。小学校に通う頃か。
唯一の国道113号線が、地吹雪で渋滞を起こした。

雪は、乗用車を巣食った。
閉じ込められた運転手。
死者が2名出た。

吹雪の中、小学生は学校まで歩いた。
昼ごろに天気は回復した。
夕方、113号線はようやくいつもどおりの流れに戻った。


果物は、りんごと葡萄だった。
ビニール袋に、押し込められていた。

「都会の食べ物はまずいべ?」

友人は笑い、同意を求める。

 この土地には何もない。何もなくてよいのだ。
 何一つ、優位なものなどなくてよいのだ。

と、言えるはずもない。

僕は友人に同意する。








自由詩 貧弱な土地にしか、果物は育たない。 Copyright ブライアン 2006-12-16 22:45:19
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