夜明けの前に。
緋月 衣瑠香

押し寄せる波が私を連れ去ろうとする
どこか遠くの私の知らない世界へ

もう終わりだと知っていた
これ以上続かないとわかっていた
だからこそ
信じたくなかった

この波の音が聴こえるこの場所で
ずっとずっと立っていたかった
でも
それも無理だと知っていた

そろそろ認めてもいい頃合
一層のこと認めてみた方が楽かもしれない
でも
その一歩が怖いから
ここで立ち止まっている

空の藍は
そっと白けていく
まだ心の整理が出来ていない私を
ちっとも知らない顔をして


自由詩 夜明けの前に。 Copyright 緋月 衣瑠香 2006-12-16 22:12:06
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