恋文
愛心

ある日、僕の所に彼女から手紙が来た。
素直で、可愛くて、良い子。
僕の、大好きな子。

僕は封をきると、ゆっくり読んだ


*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
いきなりの手紙ごめんなさい 

ただこれだけはいいたかったの

信じられないかもしれないけど

すべて真実だから

落ち着いて聴いてね




あたしね

悪魔と取引したの

あたしの寿命を縮める代わりに

あたしを愛してくれる人をくださいって

寿命をあげるだけ

あたしはその人に愛された

十年で十倍

二十年で二十倍

あげた分だけ愛されたの





嬉しかった






でも

八十歳まで生きるのが

二十歳にまで減っちゃった

明日はあたしの二十歳の誕生日

あたしが生まれた夕方に

あたしはこの世からいなくなるの





気付いたでしょ?






貴方が

あたしが

寿命を縮めてまでも

愛されたかった











貴方は長生きしてね

あたしの分まで

長生きしてね

こっちにきちゃダメよ

よぼよぼのおじいちゃんになってから

きてね




ばいばい



P.Sあたしは世界一幸せだったよ

   貴方に愛されたし
   
   あたしも貴方が

   大好きだったから

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

僕の手の中にあった手紙は、もう紙屑になっていた。

僕の涙で、字は滲んでしまった。

ああ、僕も。

僕も君が。

可愛い君が。素直で良い子な君が。

大好きだったよ。


自由詩 恋文 Copyright 愛心 2006-12-14 22:39:48
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