ドラえもんの涙
渡邊永遠

ドラえもんが泣いていた
のびた君がちっとも反省しないで何度も何度も、同じ過ちを繰り返しては、迷惑を被ってしまう自分の生き様を悲しくなって

のびた君は泣いていた
自分は一生懸命頑張っているのにドラえもんは、もう知らないよ。と怒って泣いてしまったので
自分はなんて可哀相な人間なのだろうかと、自分の運命を悲しく思った

私はポテトチップスに手を伸ばしながらそんな二人を見ていた
どちらもどちらよね、なんて思いながら、どちらにも感情を分け与えることなく私は、私のままで

どんなに泣いたって
どんなに悔やんだって
君達はまた、同じ過ちを繰り返すんだ
半永久的に。

賑やかで温かな茶の間の前であろうとも
一人ぼっちで出前のそばを食べる一人暮しの寂しい男性の前でも
ご飯そっちのけで夫婦喧嘩をしているさめざめとしたリビングでも

金曜日の19時になれば
また同じ過ちを繰り返すんだ

普遍という名の憧れと
普遍という名の一抹の寂しさを
小さな光の集合体の中に見ながら
自分の過ごした一週間に思いを巡らせた。

ドラえもんの涙やのびた君の涙が時々だけれど固まった氷を溶かしてくれるような気がして。


自由詩 ドラえもんの涙 Copyright 渡邊永遠 2006-12-13 00:19:18
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