ベル
六崎杏介

シダ、acid、時計塔
福音のベルが鳴り、陽光柔らかく
私は幸福で、空腹で
ゴシック調の、威大な霊が吐き出す
喪服と、安息香の広場で
鳩、灰色のついばむ様子を唯
眺めて、唾液がキラキラと
地上に落涙するのを、美しい
昼下がりの、それは美しい
ビーズ、である様に
祈り、止まない唾液の
零れる、愛であると感じ
(私は幸福で)空腹を慈しみ
唾液、唇の端から
透明な、ベルが零れ落ちるまま
チャペルでの、果たされ無かった
私の、約束に
耳を澄ます、私は幸福で
キラキラと、唾液を垂らして
世界を、愛す。
(福音のベルが鳴り、て)


自由詩 ベル Copyright 六崎杏介 2006-12-11 12:30:05
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