四季彩
紫翠

モノクロームの記憶
あなたを待った 冬の陽だまり
夜の都市が浮かび上がるまで 何をあんなに話していたのか、
もう忘れてしまったけれど
ただ、一言で
胸いっぱい、嬉しかった あの頃


会えなくて 
春の雨は 心にもしとしと降った
儚く消える水の足跡
花のつぼみは まだ固い
灰色の海 心彷徨い
言葉のないまま 受話器を置いた
あの夜


太陽に焦がれるように
あなたをおもって 息、してた
陽炎と うずまく緑の息吹きの中で



夕日色の木の葉 降りしきる路
駆け抜けた 遠い季節の中
…笑ってる
声がする


あの頃 
欲しかったのは ただ、あなたの笑顔
手のひらから こぼれてゆく 季節と
心に 瞳に 彩り
くれたあなたを ここからずっと 見つめているの


自由詩 四季彩 Copyright 紫翠 2006-12-11 11:45:48
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