破格
狸亭

ハカク
と言えば、バルザック。

歯、欠く。
左上歯。右、奥歯はすでに人口歯根インプラント
詩魂?

万年イボ痔には座薬。痛風止め、中性脂肪増加止め、血液循環増進剤の飲み過ぎが足裏の皮膚を荒らすから近江兄弟社のメデイカルクリームを毎晩摺り込む。

良い慈、撒こう、市から
「破格を」と。
「詩は、創って壊すしかない」と。

子供たちが巣立った後、放置してあった部屋を改装したので、懸案の本棚を移した。床一面本が氾濫。各巻二段組四百頁二十六巻のバルザック。

破格の人間喜劇。

金子光晴全集十五巻。永井荷風全集二十八巻。小林秀雄全集十五巻。菊池寛全集十巻。日本現代詩大系十九冊。現代詩論大系六巻。現代日本詩人全集十六巻。谷崎潤一郎全集二十八巻。深沢七郎全集十巻。夏目漱石全集十五巻。フローベール全集十一巻。ボードレール全集四巻。リラダン全集五巻。齋藤磯雄著作集四巻。鈴木信太郎全集五巻。小熊秀雄全集五巻。中原中也全集一巻。小野十三郎著作集三巻。吉本隆明全著作集十五巻。武田麟太郎全集全3巻。太宰治全集・・・・・・
マラルメ全集、ジッドの日記、ヴァレリー全集、スタンダール全集、ドストエフスキー、ゲーテ等の端本。世界名著全集、各種文学全集、筑摩叢書、新潮選書、現代詩文庫、現代詩講座、日本詩人全集、九鬼周造全集、福田恒存全集、北原白秋全集、堀口大学全集、新書本、文庫本、雑誌、増殖する詩集。「ランボー」という活字が印刷された全集、評論、翻訳数十冊・・・・・・

隠居元年。
プルースト『失われた時を求めて』十巻からとりかかろうか。老いらくの恋だから、食欲も性欲もおとろえたのに、読書欲だけが二十五歳のように燃え。

二〇〇〇年三月一五日付東京新聞夕刊コラム「放射線」で未だ若い関川夏央が「25歳以降に進歩なし」と題する文章を書いていた。「心は年ごとに硬くなる。脳のひだは日ごとに浅くなる。自分は『二十五歳までに接した文化』という名前のおりに閉じこめられている、と知って私は茫然ぼうぜんとした。新しさをもとめても、それは鉄格子のあいだから必死に手を伸ばすサルに似ている。と思うと、なんとも索然たる気分にとらわれるが、人が二十五歳までにいた種子を育て、収穫するには(駄目にして投げだしてしまうかもしれないが)、人生の残り時間のすべてを費やしてもまだ足りないのである。」と。

二つの部屋を本を抱えて行ったり来り立ったり座ったり。
「詩有別才非関書也」詩に別才あり。

『倚りかからず』威張ら気乗り狐詩集は「転生塵悟」や吊身蠢援やア、魔の遊鬼恥に褒められてベストセラーになって三十万人にも読まれて言葉の精を吸取られているらしい。買って読んだ時には蛻の殻。

『空中の茱萸』あら、革楊枝の最新詩集は書名が詩的だ。未読なれども読売文学賞も受賞して意気高し。『現代詩手帖』三月号の荒川洋治インタビュー「“現実主義”のことば」(ききて)横木徳久を読んだらこの詩集も読みたくなったが、浮気者の常、詩を書く者にとって雑誌に振回されるのは最悪。若い時に読んだリルケの『若き詩人への手紙』は新鮮だった。「二十五歳までにま撒いた種子」は地底深く未だ生きているから。

紅白の梅花満開。
それにつけても世は奇怪きっかい

警視庁 懈 萎死 痴 溶
防衛庁 暮 壊 威 懲

君餓世話 血夜煮 邪痴余似
鎖座礼 萎姿農
違和悪 吐 難吏手
弧化能 霧塵 魔出

波 歌 久

20000318


自由詩 破格 Copyright 狸亭 2004-03-30 22:06:16
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