名前も知らない花
eris

太陽の当たらない裏庭の隅
名前も知らない花が
ひっそりと 咲いていた
「どうせすぐ枯れる」
その時 僕はそう思ったんだ

それから三日後
枯れているのを確かめに行ったのに
花はまだ 枯れてなかった
「なんてシブトイんだ」
その時 何故かそう思ったんだ

それから六日後
どうなっているか確かめに行ったら
花はまだ 咲いていた
「・・・・・・頑張れ」
その時 初めてそう思ったんだ

そして次の日
手のひらいっぱいの水を持っていくと
花は 誰かに踏み潰されていた
「・・・・・・・・・」
わずかに残った手のひらの水をかけ
僕はその花を包み 埋めたんだ

今度は 太陽が独り占めできる丘で
名前も知らない花は
いつかまた 咲くのかな


自由詩 名前も知らない花 Copyright eris 2006-12-10 20:08:27
notebook Home