平成ロミオと ジュリエット
ダイワスカーレット

すれ違ったきりの 長針と短針

もう重なり合うことは 永久に無い

むしろ ベクトルを真逆に向けた



逃げるように 目をそらせば

何も言わずに ただ去り行く

“日常”だとか “常識”なんて

美化したセリフに 引導を渡した



アイツだって 苦しかったろう

アイツだって 病んでたんだ

自分は 分かっていながら 背を向けた



本音から 逃げ隠れしていた 惰性走行の日々

加速も減速もせずに

ただ 思いのままの速度で

吐き出せない気苦さだけが 唯一の非常制動 



似たような 運命を辿るも

全く違った 思想と展開

アイツのいない世界に いたことがないんだ



おれの前世は 何だったんだろう

食べかけのミカン サビだらけのトランペット 飼い主のいないネコ

結局 何かは分からない

だけど アイツとはずっと 続いてたんだろう



アイツはもうすぐ 重いドレスを脱ぎ捨てる

おれもこのタキシードを 引き裂くんだ



精一杯 アイツは踊った 

不揃いで不器用だった 3拍子ワルツ



完璧を求めすぎたゆえに

ずっと長い間 苦しがっていた

それでも自分なりに魅せた Love Actually



恨みや憎しみから 

愛でるための芽が出た

ちょっと遠回りだけど

お互いに不器用だったけど

いいじゃないか



もうアイツを 離さない 離したくない



きっとアイツは 聞いてくるのだろう

どうしてあなたはロミオなの?



君がロミオという名前が 気に入らないのなら

もうおれは ロミオではない

何とでも 好きなように呼んでくれ


自由詩 平成ロミオと ジュリエット Copyright ダイワスカーレット 2006-12-10 16:37:23
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