ジミーと青い空
AB(なかほど)

ハイ ジミー
今日は晴れているかい
君がジムという名前かどうか知らないけれど
僕の中ではジミーと呼んでいたよ

ときおりすれ違うだけの君が
急に
ねえ兄弟
今日はなんて素敵に晴れてるんだろう
って屈託のない明るい瞳で
ジミー 
ちょうどその頃の僕が
暗い淵に片足を突っ込んでたのを
気づいてたのかい

手にはいつもナイロン袋を握って
カゴの中を覗きながら
ポップのプラスチックボトルを見つけるたびに
笑いもせずSiと声を発する
そんな君を見ながら
MIではデポジット料金が他州の二倍なんだって
と袖を引っ張り合いながら
話す声が聞こえた

ねえジミー
ちょうどその頃
ホワイトオークリバーにも薄い氷が張って
渡り鳥が
その上を歩いていたんだ
僕の心はその氷の上で
静かに横たわっているような気分で
ときどきミシって音がするんだ
ねえジミー
そんなときに
今日の天気は素晴らしいよ
って
たったそれだけで
もしかしたら君のほうが
薄い氷の上を歩くような毎日かもしれないのに
ねえジミー
たったそれだけで
まだ青い芝生の上に出てみようか
と思ったんだ

今でも相変わらずのニュースが
世界中を駆け巡って
キャンパスにも相変わらず
軍服を着た学生が歩いているんだろうか
そんな彼らや彼女達にも
ジミー
冬の晴れた日の陽射しのこと
話してくれないか

ジミー
ホワイトオークリバーには
もう氷が張ったのかな
そして
ねえジミー
今日は晴れてるかい
君の街は晴れてるかい
君の国は晴れてるのかい
君の空も晴れているのかい



   


自由詩 ジミーと青い空 Copyright AB(なかほど) 2006-12-09 00:06:39
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