夢見る少女部屋
からふ

いつだって街灯は
見なければならないものしか
見せてくれないので
夜は直方体の中で俯せていて
換気扇は回さないでいる



ホラー映画を明るい部屋で見ていて
終わってから突然笑い出すのは
自分が幽霊と似ていたからじゃなく
すべては夢なのだと分かるから



アイロンのにおいは
現実のにおい
ボタンの二つとれた
ワイシャツのしわが薄くのばされていって
音を立てて畳まれる
ぱたぱた、ぱたぱた、



それは羽ばたく音ではなく
重力が蝕んでいく音
膨らませていた風船の重さで
身体は既に軋んでいる



くまのぬいぐるみは
誰にも襲いかかったりしないから
物事はいつもハッピーエンドだから、と
風船を全て割ってから
ゆっくりと眠る夢を見る



自由詩 夢見る少女部屋 Copyright からふ 2004-03-30 05:55:36
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