ジャングルジムのてっぺんから
しゃしゃり

夕焼け
みんな迎えがきて
またね
またあした
手をふって
さよなら
ジャングルジムのてっぺんから
いつも
見送るだけ

砂場のシャベル
ブランコのさび

おかあさんが
きょうから
おとうさんよと
言ったひとには
おなかに大きな手術のあとがあった
ぼくはその傷を見せられるたび
こわくてたまらなかった

ジャングルジムのてっぺんから
みる夕焼けは
いつもぼくを
手招きしているようで
ぼくはほんとうは
間違った家に生まれてきたんだ
ぼくのほんとうの家は
もっとずっと遠いところにあるんだ

いつも
そんな気がして

でも
まるでぼくのあたたかい家のような
おんなのひとも
ともだちも
みんないつのまにか
ぼくのそばから離れていくだけで
またね
またあしたって

そんなあしたなんて
きたためしがないのに
ジャングルジムのてっぺんから
ぼくは今でも
途方に暮れて
すべてのものの後姿を
ただ見送っているだけのようなのだ








自由詩 ジャングルジムのてっぺんから Copyright しゃしゃり 2006-12-06 22:17:23
notebook Home 戻る