秋の夜長
ネコ助


澄んだ月夜の闇の中。
頭をよぎる人の名を
空しく呼ぶ声は
蒼きしじまにこだまする。

今宵の夜長をいかにせん。
若き血潮にかせ掛けて、
ただ待つ姿も痛ましく
君が心を奪うとき、
我が心も満たされる。

澄んだ月夜の闇の中。
この闇の続きに君は居る。
いとしい人の名
伝え来しかな虫の声。

二度とは巻けぬ時計のよう、
ぜんまい仕掛の青春を
ただ一人過ごすむなしさに
君を大人に成せるとき、
我が大人は満たされる。


自由詩 秋の夜長 Copyright ネコ助 2006-12-06 19:28:24
notebook Home 戻る  過去 未来