パーフェクト
水中原動機

オカチャベ たべる
と言ってキミは
お茶漬け海苔もって来るから
ボクは困ってしまうんだ

彼女はコワイ顔で
食べさせるなと無言の圧力かける
でも休日だからいつも寝顔だから
つい甘やかしてしまうんだ

コテート たべる
と言ってキミは
チョコの缶抱えてくるから
ボクはにやけてしまうんだ

彼女はあきれた顔で
家事はじめてしまう
でもボクも食べたいから美味しいから
一緒に頬ばってしまうんだ

オゾミがみたい
と言ってキミは
テープカチャカチャするから
ボクは新幹線のビデオをセットする

いつか本物見せてあげるからと
心の中で思いながら
約束できないことを
同時に詫びていたりする

ボクは完璧じゃなくて
キミにしてあげられないこと多すぎて
こんなパパでゴメンと泣きたくなるけれど
笑顔向けられるとつい笑ってしまった

トーマスみたい
と言ってキミは
絵本引きずってくるから
少しずつ覚えてみる

ヘンリーエドワー
ジェームスパーシー
呪文みたく繰り返すキミが
とても誇らしい

小さな小さな世界の中で
キミは真ん中にいて
何も欠けてないように見えるけど
それはきっとボクの思い込みなんだ

キミを完璧に幸せにしたいけれど
そんな願いはきっとかなわなくて
せめて今だけはこの瞬間だけは
やさしくつつみこんでいたい けれど

東の空に白い月がのぼり始めて
空を闇が支配していくのを無視したんだ
太陽みたいなキミに
照らされてるのはきっとボクだから


自由詩 パーフェクト Copyright 水中原動機 2006-12-04 23:39:15
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