アンパールルーム
黒川排除 (oldsoup)

この街を見上げるいつかを歩いている

夕焼けを毛布に焼き付けて夜の火

ハンカチ横切る誰かの頭上を傘で愛す

全ての弦こともなげに切れ黒い目のヴァイオリニスト

星雲を気配として佇む地蔵

葉に杭打つ森の完成少しずつ

丑三つ時に塔がしばらく立っている

影の頭部濡らすための室内灯

食材はパン粉舞い上がる銃撃の末

意味にない花の言葉の駅に着く

あしとかけむりとか見る上から

貯水池に錆びているかもせりだす胸

ぞっとすると月が懸かって見える外

野晒しの服折り返すランナー来て

澄んだ空に誓ってわたしは白い花

田の中のあかるい土をつぶる

老いたるものすりつぶしわかばのにおいさす

涙浮く檻に逆さのビン吊るす

連鎖する夜に積み木してぐらつく足

柿食うまでもなく坊主は坊主


川柳 アンパールルーム Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-12-04 05:32:39
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