またたく夜の漸近線
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途切れさせないことを唯一の目的にして
わたしは
大きな夜を千切り続けます
半分をまた半分に
それをまた半分に
そうしていればいつまでもなくならないのです
君の髪がメロディになって
行方知れずのカーブと猫の鳴き声
吹けない口笛をバッタが踏み
わたしは
そのバッタを踏みつけて君に踏みつけられます
一番脚を広げられるスカートを着て
ソラノアジまで駆けてゆけば
はだしの裏に突き刺さる小枝やムカデが
月に口付けしに出かけるところです
ごらん!
いま、きみはじぶんでもしらなかったところに!
ためいきにそっくりな風が吹いて
口笛にそっくりな音が駆け抜けていきます
ほんとうは止められるようなことを
わたしたちはすすんで続けていたのです
湖でせわしく溺れていたアリが今動くのをやめて
柔らかくて優しい水に撫でられています
穴の空いた葉の向こう側に見える大きな夜
半分を半分に
それをまた半分に
千切り続けた夜はもう小さくなって
それでもまだ半分に
とろり、千切られた夜が撒き散らされた上で
口笛の形の唇がたどり着きます