うさぎ殺し
吉田ぐんじょう

がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている

かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか

呟いた息が白い

夜空には
おおぐまや
はくちょうがいると云う
ぼくはそんなもの
見たこともないが
大人がいると云うのだから
きっといるんだろう

夜の校舎に
時折ちらちら動くのは
誰だろう
淋しがって泣いてる

風が吹き
薄荷のにおい
そのうち全て
忘れてゆくから

すかすかの胸に
抱きしめたうさぎは
いとも簡単に
あんな風になって

それでおしまい


自由詩 うさぎ殺し Copyright 吉田ぐんじょう 2006-12-02 20:54:27
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