暗闇れもん

紅を差そう
朱色の布をまとわせただけの軽い体を起こして

襖の向こうでは三味線と声
硬い布団と一緒に沈んでいく長い黒髪

艶やかな声
媚びる声
細く白い足の影が
いくつもこの小部屋の前を通る

さらさらと衣擦れの音が繰り返し

紅を差そう
振り向く者などいないこの小部屋で

自分だけのために









自由詩Copyright 暗闇れもん 2006-12-02 20:31:25
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