祖母のアラカルト
橘のの

 
 
οわだい

すべての話題を鮮やかに
祖父の話へと導き
帰結する

この人はたぶん
愛を知ってると思う



οあんこ

粒あんの饅頭と
こしあんの饅頭と

あなたは必ず
僕の好きなこしあんを
お皿にのせてくれる



οくちぐせ

まぁ
せっかくのお休みの日なのになぁ

行くといつも言う

その声は
かまどで焼いたパイのように温かで



οせなか

枝を切る祖母の背は
決して大きくはないが

地球よりも丸く美しい



οないしょ

本人は
内緒のつもりらしい

なかなか
嫁のこない孫を

だれよりも
心配してること



οときおり、

老いてゆくあなたを
時折、
無性に抱きしめたいと
思うのだよ

いまだに一度も
果たせずにいるけれど



οうばすてやま

こんなにも
温かく
優しくて
愛らしい生き物を
捨てるなんて


昔の人は阿呆だと思う
 
 
 


自由詩 祖母のアラカルト Copyright 橘のの 2006-12-02 13:03:39
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