ジャングルの朝
いとう


体温を逃がさないように
君は丸くなって僕の隣りで
いつものように
まだ寝息を立てている
まるで小さな生き物が
昨日も生き抜きましたと
陽光に告げるように

寒い、寒い、いつもの朝
「おはよう」はまだ君に届かない

僕たちの寝ぐらの外ではもう
いろいろなものたちが
今日に向かう気配を発し始めている
その気になればこんな小さな場所など
あっという間に潰されてしまうのだろう
テレビのニュースでは
遠くの密林で何人死んだと
いつものように流している

身を寄せ合い
体温を共有して
僕たちは生き抜いていく
一人ではできないことと
二人でしかできないことを
手探りで確認しながら
ジャングルの中で
守り合うのではなく守られ合って
愛し合うのではなく愛され合って
この、小さな場所で、寒い、いつもの朝を
これからも迎え続けるのだろう

「おはよう」はまだ君に届かない
ベッドの中の僕の抜け殻を抱える君を見つめながら
今日も愛されていることを確認する
愛されている、その高揚に守られて
いつものように
ジャングルへ続く扉を開く
今日を二人で
生き抜くために





自由詩 ジャングルの朝 Copyright いとう 2004-03-28 22:08:57
notebook Home 戻る