天使の憧れ
なかがわひろか
天使の子供が羽を織る
世の中天使があぶれすぎ
予備の羽も足りなくなった
トンテントンテントンテンテン
羽織り音が天から墜ちる
天下り先を探す親天使
神のご機嫌取りの毎日
息子は悪魔になりたがる
代々天使一家の名が廃る
悪魔は体を黒く染めるだけ
食費も住居費もほとんどかからない
その上毎日やりたい放題
天使の子供は内心憧れる
ろくな教育も受けぬまま
今日も工場で羽を織る
トンテントンテントンテンテン
悪魔がからかい拍子を取る
トンテントンテントンテンテン
本当は悪魔に憧れる
(「天使の憧れ」)