君が好きだったコスモス
こめ

廃校舎に月がさしのべる

光の中野エントランスの階段を

少しずつ確かめるように登っていく

昔のクラスの自分席に座って

月明かりに照らされて

まぶしいので目を細める

僕がみたいのは君の笑顔だけなのに

その笑顔はもう消えて

空に幻想として浮かんでるだけ

ずっとそばにいたい僕

いつも手の中にあった少し小さい君の手は

もう冷たく凍りよりも冷え切ったいた

いつも部屋の一人で居た

部屋に飾ってあった君の好きなコスモスは

下を向いて悲しそうにしおれていた

このままずっと一緒にだと思ったのに

もう君は形すら見えなくなっている

部屋にかけたフタリの写真を見て

地面にたたきつけた

苦しむ胸の痛みに耐えながら

必死に現実を受け止めようとしていた

いくら睡眠薬を飲んでも眠れない白夜

雪に埋もれた君を抱きしめ

一体なんて決めかの涙を流す

君が小さく微笑み死んでいったように

僕は君に会いたくて冷たくなった君を

ギュッとだきしめ

海に身を任せ

やがて僕も君と同じように冷たくなった・・・・





自由詩 君が好きだったコスモス Copyright こめ 2006-11-30 20:47:20
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