黒猫の便り
緋月 衣瑠香

まだ秋
なんていっておきながら
夕方の寒さは冬

部活が終わって制服に着替えていると
テニスコートの外に
学校で飼っている黒猫

<おい
お前は何をやっているんだい>

黒猫はただこっちを見てしっぽを揺らす

<おい
お前は何をやっているんだい>

座っている黒猫はじっと見つめる

<おい
お前は何をやっているんだい>

黒猫は目線を上げた

<・・・あ
お前はこれを見てたのかい>

にゃあ。

その声は
薄暗い天の冷たく光る半月を
一層と
冷たく見せた

もう冬だ






自由詩 黒猫の便り Copyright 緋月 衣瑠香 2006-11-30 19:07:46
notebook Home 戻る