虹のドクガ
三条麗菜

あなたに愛される
蝶のようには
なれなかった日

私は一匹の蛾となって
その燐粉は七色に
辺りに飛び散るのです

私の周りには虹ができ
私は私の毒に
やられてしまう

あなたは虹なのですね
あなたに触れることも
近づくこともできない

誰もが虹なのですね
誰もが光による美しい幻で
近づけば消えてしまうのですね

私という虹のドクガは
この世界でたった一匹
たった一匹の意識ある生物

私の目に映った
すべては虹色に染まった
ただの幻に過ぎないのです

標本にされる痛みさえ
与えられない私が
夜を飛ぼうとしています

誘蛾灯に触れて
私が焼け落ちる日
飛び散る私の体液で

本当の虹が
一瞬だけできる
ことでしょう


自由詩 虹のドクガ Copyright 三条麗菜 2006-11-29 23:13:29
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