エンジェル・スマイル
モーヌ。




その ほほえみは 生理と いわれる

世に 生まれ 立った きみは まだ 3箇月

歓喜の 波が 寄せる と “ にこ ” と わらう

ときどき 声が 洩れるのは 成長が こぼれる から

ちょっと だけ こぼれて ゆく

きみと ぼくは いっしょに 見た

はじめて みたいな 晴れた日に 萩の 花の 白さが

垂れた 枝から こぼれる 止揚に 氷結 した のを...

そんなふうに 駆けて ゆく 季節の 画布が にじむのに

その ほほえみは 似て いた





毛利さんごっこ と いう 遊戯で あそぼう...

ぐずった きみを 抱いて

ぼくらは 宇宙へ 出た フリを する

上下に 左右に 飛行士の きみを 振り まわし ながら

“ 毛利さ〜ん シャトルの 外壁は 修理 できましたか? ”

と いったり

“ 地球の ようすは どんなですか〜 ”

と 語らって

にせの 宇宙の 空で きみ と いう 惑星を 見つめる

内部には 小さな 葛藤や 紛争や 矛盾やら が 彫られて いて

シャトルから 見れば

驚愕する ばかりの やわらかな ひかりの 球体

青さ ひかりの 多彩さ が うごいて ゆく





...そうして まだ 夜の なかに いる

うつら うつら と ふいに 夢から 覚醒して

また 眠りの 坩堝の なかに しのび込もう と する とき

ランプ・シェイドの ほのかな だいだいいろの あかりの

かげに きみは 浮き 立ち

もみじのような 大の字で 眠って いる

落ちてゆく ぼくに 眼を 閉じながら

天使の ほほえみを して

すぐに 真剣な 寝顔に もどって...

ぼくは やわらかい 歓喜に 拡散する 銀河を

うつら うつら と 落ちて ゆくのだが

あかつきの いちばん鳥の 声を 抱いて いる








自由詩 エンジェル・スマイル Copyright モーヌ。 2006-11-29 09:39:24
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