夏の遺書
有邑空玖



青い硝子
浮かぶ絶望
夏の
向日葵
白い
白い光



僕が仰ぐ
黄色い花弁
風 揺れて
遠い記憶



鳥の
白い

千切れた
白い




どうせ最期は
ひとりだから と
君は
僕の手を
振り解く



揺れて……




夕暮れ
打ち水
焼けたアスファルト
雨上がりの
匂いに
似ている



どうしていつも黙ったままで、目を逸らすのが得意なの。



答えのない 夜



退屈退屈退屈
退屈ばかりが
哀しさじゃない
知っている
はずさ
問いかけはいつも
白く
白く
溶けて
行く……



青い空は
気が滅入る



誰かの声
死んでしまえば
楽になれる と
手を 招く



空へと伸ばした指先はもう青く染まって、でも空にはなれない。



僕たちは
空へは行けない
僕たちは
空にはなれない



青く染まる指先
青く染まる指先
青く染まる指先
くだらない






   
(初出:「ALL WORDS COA OSAKA SPECIAL」にて朗読)



自由詩 夏の遺書 Copyright 有邑空玖 2006-11-21 22:34:28
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