温度計のこわれた体育館
迎信
裸足で入口に立つ
じんわりとあがってくる床の冷たさ
白い光に浮かぶほこり 小さな窓
僕は 笑いをこらえながら
ゆっくりと走り出す
ぐるぐると 何周も何周も
時計回りに走り回る
とうとう笑いがこらえきれなくなって
僕は大声で笑いはじめた
走りながら笑った
笑いながら走った
どのくらい経ったのか
僕は立ち止まった
入口に 彼女が立っていた
彼女は僕のそばにきてかがむと
冷えきった僕の足首に
そっと触れた
自由詩
温度計のこわれた体育館
Copyright
迎信
2006-11-20 12:15:37