おまえが
おまえの母の指を握りながら
泣いていたので
どうしたのか聞くと


おまえは
母の左手の薬指の
銀色の指環を
指ごと握りながら
これが欲しいと
言って




でも
その指環は
僕とおまえの母が
夫婦だという
約束の証なので
おまえには
あげれないのです





それと
いい機会だから
言っておくけれど
おまえは
僕とは結婚できません
ごめんなさい





おまえは
一時間もすると
泣き止んで
公園に行きたいと
今度は僕の指を握って





今日の出来事も
やはり
忘れてしまうのでしょうけど










おまえの指が
すっかり大きくなった頃に
みんなでお揃いの指環を買おう



おまえがこの世界にやって来た日から続く
家族という約束の
証として