涙と魚の相関関係
吉田ぐんじょう
錯綜している視神経の
からまりあった編み目の間に
ちいさい魚が
かかっている
つめたいつめで
そっとつまんで
涙腺の中へ
放してやろう
水草があれば尚いいが
涙腺の底には
水草は無くて
代わりに
いくつもの
うすあおい硝子片が
あるように思う
魚はそこへ棲むだろう
気泡を吐いて踊るのだ
それはきっと夢のように
愉快ですこし
痛いだろう
自由詩
涙と魚の相関関係
Copyright
吉田ぐんじょう
2006-11-18 17:37:47