ノート(一夜)
木立 悟




何かが去ったあとの高鳴り
大きなひとつの花になり
たくさんの小さな羽になり
微笑みながら消えてゆく


ひたされたとき
見えるかたち
雨はすぎて
胸とくちびる


する と される
さかいめは無く
触れる時間
妨げる熱


往々にしてそこにあります
水の入った小瓶のなかです
混ざることのない
色の羽です


音は無言で雨を見送り
胸は苦しく水を欲めた
呑み干したとき生まれる火
からだのどこかで骨になった


眠る手のひらを見つめていた
伝う水を見つめていた
はばたきの残る今日の背中に
いつのまにか明日が来ていた












自由詩 ノート(一夜) Copyright 木立 悟 2006-11-15 17:56:35
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