ひとつ かぞえて
木立 悟




ひとつの炎がてのひらにいて
手のひらのかたちからあふれては
熱も音も伝えずに
あふれつづけるそのままでいる


蒼い羽とむらさきの矢が
吹き荒れていた夜は明け
白い髪 白い花と葉
白い陽のなか揺れ眩む


暗がりへ暗がりへ向かうとき
ふいにかたわらに立つ縦の光が
ゆうるりと傾きを導いて
静かな笑みの色ははじまる



ひとつの指で
見えない珠を数えている
数はなくなる
かたちはなくなる



曇があつまり
光を囲む
ひとつ ふたつ
まばゆいけだもの


地の辺 空の辺は冷え
音は音もなく波紋に変わる
炎はこぼれ あふれながら
見えないものを数えつづける














自由詩 ひとつ かぞえて Copyright 木立 悟 2006-11-13 13:41:03
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