まけじゃんけん
汐見ハル
まけじゃんけんというものをおそわりました
さきにあいてがだしたてに あとから
わざとまけるてをだすじゃんけんだそうです
ぱーには ぐーを
ちょきには ぱーを
ぐーには ちょきを
まけるがかち
ぽいんとは
いっしゅんでだすこと
ただしくまけること
ただしくまけること!
あたまのやわらかいひとほど
このまけじゃんけんが
じょうずだそうで
まけずぎらいのわたしは
とっさにだせるての
ぜんぶが
かつため
ぱーにはちょきを
ちょきにはぐーを
ぐーにはぱーを
おしえてくれたひとのいうことには
ただしくまけられないひとは
かたくな
あなたがふったてのひらに
わたしはいつも
ちょきでこたえる
このまけずぎらい と
あなたはにがわらい
あなたがだしたぶいさいんに
わたしはいつも
がっつぽーずのこぶしでこたえる
おうやったぜ と
あなたははじけたえがお
あなたがかたくにぎったゆびたちを
わたしはいつも
てのひらで
やわらかく
つつみこみ
ときほぐし
あたためる
わたしはいつも
かたくなに
あなたをまかすことばかり
かんがえているのかもしれない
かたくにぎられたつめたいゆびたち
わたしのてのひらのなかで
ゆっくりとほどけて
あなたはやがて
わたしのひだりかたに
はなをすりつけて
ありがとう と
ちいさくつぶやき
なみだまじりのちいさなえがおの
けはいだけを
わたしにくれる
こんどはわたしがつつみこまれる
あなたはいつも
はじめから
わたしにただしくまけることばかり
してくれているのかもしれない