冬から秋にかけての季節の変わり目
光 七清
糸を
たぐりよせて
より込んで
野生の木の実で、木の皮で、灰汁をつかって染めていた
貴方のために織った布
裁って合わせて服を縫う、靴を縫う
身につけた布地は擦り切れて
冬の野原には雪が積もっていた
たぐり寄せる糸も無く
合わせて縫える生地も無く
箪笥にしまったワンピース
ウールのコートにテーブルクロス
どうせ家からでないのだ
糸をほどいて布にして
裁って染めたら針を持つ
服を縫う
靴を縫う
貴方のために準備する
その服を身に着けて
その靴を履いたまま
貴方は帰ってこなかった
お前が何をしてくれた?
こんなつまらない家に閉じ込めて、こんな汚い服しかよこさない!
春を迎えたドアをあけると
赤いペンキでメッセージが
(ペンキはどこから買ってきたのだろう)
自由詩
冬から秋にかけての季節の変わり目
Copyright
光 七清
2004-03-23 22:59:40
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