時代遅れの男 〜はっとりんぽえむ・その2〜
服部 剛

携帯電話を持たず 
運転免許は取らず 
国家試験も受けず 

やりたくないことには目もくれず 
自分のやりたいことのみ精を出す 

いかなる流行はやりに流されず 
いかなる派閥にも属さず

誰も踏まない足場に立って 
のんきな鼻歌で幾多の失敗を笑い飛ばし 
時代遅れな自分自身を引き受ける 


彼は手塚治虫に倣う者 
晩年描いた漫画の中で 
火の鳥が羽ばたくまで
木の幹を登るオサムシのように 
ひとすじに歩き続けた 

彼はSHINJHOに倣う者 
かつての「虎のプリンス」は 
阪神の大金蹴ってN・YMETSニューヨーク・メッツに飛び込んだ 
福岡で生まれ、北海道で日本一の胴上げされて 
涙で男の花道を飾った 


ただ一心に 
「今日という日」を楽しむ彼は 
自称「ニセモノ金次郎」 

れた女にゃ逃げられど
婆ちゃん達には大人気 
ハゲのかつらをかぶって馬鹿踊り 
婆ちゃん達は腰抜かす


まきの代わりに
( いつも背負う重いリュックに入っている 
( 一枚の透明な地図 

( 彼が生まれる前 
( 母の胎で眠りながら見た夢の中で 
( 語りかける姿の無い誰かから渡された  
( 古びた約束の地図 







自由詩 時代遅れの男 〜はっとりんぽえむ・その2〜 Copyright 服部 剛 2006-11-11 09:45:46
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