鉄の時代
三条麗菜


外の風に吹かれて
眠る夜はいいものですね
遠く夜汽車の音を
聞きながら

私は線路に耳を当て
旅立っていく汽車の音が
消えるまで
いつまでも聞いている
そんな姿を
まどろみの中で想うのです

線路はどこまでも
私の知らない
世界のどこまでも
つながっているというのに
なぜこんなにも
冷たいのでしょう

私は暖めてあげるのです
抱きしめて暖めてあげるのです
私はあなたを想います
私の知らないたくさんの世界を
知っていたというのに
何も知らない人達に
傷つけられて
傷つけられて
冷たくなってしまった
あなたを想います

あなたという線路の上を
私は走るはずでした

今でも私の心は温かい
冷たい風に吹かれても
あなたを想えばそれだけで
今の私ならできますか?
できると思いますか?
あなたにもう一度
触れさせて下さい

外の風に吹かれて
眠る夜はいいものですね
遠く夜汽車の音を
聞きながら


自由詩 鉄の時代 Copyright 三条麗菜 2006-11-07 22:33:44
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