「 千手観音 」
服部 剛
○さん △さん □さん ×さん
ぶつかりあって
スクラムを組めない
日常の僕らの職場
たくさんの言葉で
自分の正しさを伝えるほど
はぐれてゆく
○さん △さん □さん ×さん
*
「
職場の休憩室のテレビをつける
と、耳の聞こえない中国の美し
い少女達が一列に並び後ろから
ひ ひ
と と
り り
の首に息を吹きかけ、すべての
両腕は順にひらいて、金の光を
放射する千手観音があらわれた。
」
*
日常を飛び交う
誰かの棘の言葉達
じっと口を結んで立ち止まり
そっと心のそとへ逃がすなら
すべては過去へと消えてゆく
( ぼくは きみと
( 言葉の無い会話を交わしたい
今日という日の五線譜に
互いの音色を織り成す
音符となって