香水
ku-mi

バスの発車する音が聞こえた
15時02分
西日に染まる時間
カーテンにくるまって見送っていた 
ビルの向こう

机の上に広がった書類
領収書も
重要なメモも
紛れ込ませている
そうやって整頓されていないほうが
忙しいのだと言い訳ができる

でもけして
失くしたりはしない
大事なもの

まだぬくもりの残るシーツ
どんなに抱き合い重ねても
体内がからっぽになるから
お弁当を買いに出かける
甘いものもちゃんと買う

黒いパンプス
足の爪が少し曲がっても
この靴が気に入ってる
冷たい廊下に響くかかとの音が
私らしくなくていい

コンビニから戻ってきて
玄関に入ったとき
嗅ぎ慣れない男物の香水の匂いがして
泣きたくなるのだ


自由詩 香水 Copyright ku-mi 2006-11-04 18:09:32
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