2006/09/30っていう記念日
土田

海へいって
ざぶざぶざぶざぶ、本荘マリーナで少年はさけんだ
ざぶざぶざぶざぶ、本荘マリーナは曇りというか雲だった

ぼくは波打ちぎわで少年のやまびこがかえってくるまで
みんなが言っていた母なる海のなぞなぞを解こうと
かっちょ良い木の枝でつっついていた

後藤君はきのう出会い系の
メールサイトのサクラからメールでふられた
サクラにふられたなんて
どんなヘンテコなやり取りをしていたのか
ぼくは聞きたかったけど
ちょうどいい穴ぼこを見つけてしまって
それどころじゃなかった

ざぶざぶざぶざぶ、だらぁ――――――
ざぶざぶざぶざぶ、おっしゃ―――――
ざぶざぶざぶざぶ、おんどりゃ――――

後藤君はいつのまにか格闘していた
ケータイとストリートファイトしていた
ぼくは穴ぼこに枝をつっこんで
みんなが言っていた母なる海のなぞなぞを解きはじめていた

本荘マリーナはきたなかった
とってもきたなかった

やまびこが十六和音で帰ってきたのは
ぼくが父なる何かをさがそうとしたその時だった
ぼくが父なるなにかをなにかに当てつけようとしたその時だった


電波がないところでちょっと叱ってもらおうな

ぼくは山に決めた
後藤君のやまびこが鳴り止まない


自由詩 2006/09/30っていう記念日 Copyright 土田 2006-11-04 06:06:22
notebook Home