Espoir nourri
Utakata

それは深海の鯨の見る夢の続く長さ
それは絶滅した肺魚の目に宿る光
天井から滴り落ちる水の連なりは
脳内に残る祖先の記憶を浸し
痛みさえも忘れ去らせたままで 緩慢に溺れさせた

まるで
それは砂漠の中心で待つ一対の硬質な骨
それは廃墟の底に動く金色の時計の針
年老いた太陽が目を閉じて深い呼吸をし
記憶が最期に自らを取り戻したその一瞬
まどろみかける君の瞼を 宇宙の色に染める

それは
それは忘れられた文字で書かれた書物の囁き
それは最後の象の一匹が生まれ出た鳴き声
それは大海に降り注ぐ酸性の雨の波紋
それは灰色の壁に殴り書かれた予言者の言葉

年老いた太陽が目を閉じて深い呼吸をし
まどろみかける君の瞼を 宇宙の色に染める
            宇宙の色に染める
            宇宙の色に染める


自由詩 Espoir nourri Copyright Utakata 2006-11-03 14:46:55
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