「一粒のダイヤ」
ベンジャミン



ある日
「生きることは汚れてゆくことだ」と
あなたは言いましたね
その言葉の意味が分からなくて
僕は不安になりました

またある日
「人の心はダイヤの原石のようだ」と
あなたは言いましたね
その言葉の意味も分からなくて
それから長い間考えていました

けれど最近になって
あなたが言っていたことが
やっと分かってきたように思います

僕も随分汚れてしまいました
生きるほどに
純粋さが消えてゆきました

ただ
あの日あなたが言ったように

僕の心の中にも
一粒のダイヤが埋もれています

白いノートに向かうとき
透明な気持ちに包まれる

どんなに汚れてもいい

たった一粒の
心のこもった言葉を知っていればいい



       


      


自由詩 「一粒のダイヤ」 Copyright ベンジャミン 2006-10-31 20:01:51
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